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#17 書評-Book Review "DMO 観光地経営のイノベーション"-

September 21, 2017

 

突然ですが、

 

皆さんはこの「896」という数字、何かお分かりになりますでしょうか?

 

 

 

 

 

これは、

 

 

消滅可能性都市 の数です。

 

 

 

 

言い換えると、

 

 

 

全1800の日本の地区町村のうち、2040年までに消滅する可能性が高い都市

 

の数です。

(参考:https://mainichi.jp/articles/20140509/mog/00m/040/001000c

 

 

 

皆さんご存知の通り、今日本は先進国の中でも超高齢化社会が進むと同時に、

 

人口の都市部への一極集中が進むため、地域から若者がいなくなってしまい、

 

将来的に住む人が誰もいなくなってしまう都市が数多く出てきます。

 

 

 

今メディアで訪日外国人の増加や、インバウンド市場の加熱が話題となっていますが、

  

いかに日本が観光資源に恵まれようと、それを提供する人材が地域にいなくては、

 

日本の観光市場は崩壊してしまいます。

 

 

 

そのようなことにならないように、地域創生に向けたイノベーションとして、

 

DMO(Destination Management/Marketing Organization)

 

という組織が観光先進国で成果をあげ、日本でもモデルの輸入が必須となってきました。

 

 

 

ただ、今までDMOに関する学術的な本、特に海外の成功モデルについて言及した書籍はあまりなかったのですが、今回そのような本に出会うことができたので、ご紹介します。

 

 

この記事では、高橋一夫著「DMO 観光地経営のイノベーション」の書評を行います。

 

 

①作品の背景

 

観光地域づくりの舵取り役としてマーケティングとマネジメントに取り組む組織「DMO」。
DMOの研究と実践に取り組んできた著者が、観光地経営のプロ組織としてのDMOを、海外と日本の先進事例を踏まえて紹介。
地方創生に向けた観光振興の中心施策として続々と誕生する日本版DMOの確立・運営のポイントを導く。 

(Amazonより)

 

 

②作品の概要

③作品の魅力

 


章ごとに、概要と、魅力的だと感じた要素を以下に記載しました。

以下、一部ネタバレを含みますので、ご了承下さい。

 

 

▶︎第1部「第1部 欧米DMOの凄さ」
第1章 バルセロナ観光局
第2章 ロンドン&パートナーズ
第3章 ハワイ州観光局とハワイの観光振興組織
第4章 欧米DMOの考察

 

第1部では、欧米DMOの成功事例について、述べています。

 

まずは、バルセロナ観光局です。

 

本書によると、バルセロナ観光局は実績として、予算を設立前1994年の4億8千万円から、2013年には52億8千万円まで引き上げ、かつ、2013年には内50億4千万円を自主事業収入としています。

 

自主事業の内訳は、

①コロンブス塔の入場料やツーリストバス等の商品の売上

②事業者やホテル等からの年会費

③コングレス誘致に伴うホテル負担金

④コンサルタント料

の4つが占めています。

 

観光局の特徴としては、

①2層の意思決定機関があること

②行政が毎月の理事会で観光局事業をモニタリングすること

③収入の95%が自主事業収入であること

④経済価値のみならず社会的価値を創出していること

⑤成果主義のもとホテルへのコングレス負担金を求めていること  

の5つが挙げられます。(本書より)

 

 

次に、「ロンドン&パートナーズ」です。

 

ロンドン&パートナーズは、2012年のロンドンオリンピックの誘致に向けて結成された新組織です。この組織は、「Visit London」「Think London」「Study London」の3組織が2011年に統合されました。

 

その結果として、2015年のMasterCard社、2016年のトリッピアドバイザー社の調査では、ロンドンが世界で1番魅力ある都市であるという結果となりした。

 

こちらの組織の特徴としては、

①観光を都市戦略の一環と捉え、IT・医療・金融・クリエイティブ・グリーンエネルギーの5分野も同様に注力したこと

②観光誘致部門のみならず、企業誘致や留学生誘致にも同時に取り組んだこと

③予算の2割を事業者の会費から集めたこと

④毎月のMTGによりガバナンスの取れた組織体系としていること

⑤事業部門をROI評価し、成果主義を取っていること

の5つが挙げられます。(本書より)

 

 

続いて、「ハワイ州観光局」です。

 

ハワイは日本人からすると世界開講の観光地で常に人が賑わっているイメージがありますが、実は1990年から2003年まで年間600~700万人で衰退していました。これを著者はバトラーの提唱した「観光地のライフサイクル」に当てはめ、探検→関係→関係発展→成熟→停滞→若返り or 衰退 の「停滞」にあると指摘しました。停滞の原因には、収容能力の許容範囲として観光地には許容できる観光客や開発の規模があり、その臨界状態を超えてしまうと様々な問題が噴出することが挙げられています。

 

これを乗り越えるために、ハワイ州観光局は設立され、持続可能な観光戦略を計画しました。

そのビジョンが以下の5つです。

①ハワイ先住民の伝統文化を尊重する

②ハワイの自然資源と文化資源を尊重し保存する

③利害関係者が尊重し合える環境を作る

④安定した経済を支える

⑤訪問者がハワイならではの豊かな時間を満喫できるようにする

 

そして、その組織の特徴は、

①戦略目標達成のために役割分担と成果指標をはっきりとさせていること

②MICE誘致のため、コンベンションセンターの運営委託先に最適なパートナーを選定する等、有効な機能別組織を運営していること

の2つが挙げられます。(本書より)

 

そして、上記以外のDMOも含め、成功している欧米DMOの共通点は以下のように纏められています。

①意思決定機関の存在

②行政との機能分担

③プロパー職員による運営(専門人材の存在)

④DMOによる人事評価

⑤多様で安定した財源の存在

⑥多様なステークホルダーと緊張感のある関係

⑦確かな評価指標

 

一方、欧米系DMOと対比した場合に日本の観光振興組織の限界についても触れられていました。

①異動制度によりプロフェッショナル人材が育たないという人事制度上の課題

②行政に公平性が社会的に求められるがあまり、やる気のある事業者のみを優遇できないこと

③ゼネラリストとして育成される行政職員にスキルと経験が不足していること

④行政が予算主義であるあまりに、結果や成果を求める傾向が薄れていること

⑤行政の管理にあるため、観光協会の行動には制約があること

⑥プロパー職人のモチベーション向上・プロとしての自覚を持つ機会が少ないこと

⑦観光協会に自立した収益基盤が乏しいこと

 

 

そのため、著者は観光行政とDMOの機能と役割を区別することが重要と解きます。

例えば、以下のような分担を図るべきではないかという例が挙げられていました。

 

【観光行政】

・観光政策の取りまとめ、インフラ整備、規制(規制緩和)、庁内調整、他部門の政策への反映

・予算確保、多様な財源の確保

・観光地の新しい魅力作り

 

【DMO】

・デスティネーションマーケティング、プロモーション、情報発信

・コンベンションの誘致(MICE機能)、スポーツイベントや合宿の誘致(スポーツコミッション機能)

・e-business

・地域の観光人材の育成

・地域ビジネスの支援(ファイナンス機能含む)

・イベント、アクティビティツアーの開発&実施、新しいサービス&プロダクトの開発

(本書より)

 

 

 

▶︎第2部 日本のDMOの先駆者たち
第5章 欧米DMOのマネジメント特性を視点とした日本の先駆者たち
第6章 地域金融機関とともに作る「せとうちDMO」
第7章 DMOが取り組むべき着地型観光の要点─「おとな旅・神戸」の魅力─

 

第2部では、日本のDMOの成功事例について、書かれています。

 

まずは、世界遺産「熊野古道」を中心とする「一般社団法人 田辺市熊野ツーリズムビューロー」です。

 

実績として、2011年年度では誘致人数1907名から2015年度では7912名まで増加、売上高もその間に4001万円から1億9526万円と5倍近い取り扱いになっており、日本人の次に、ターゲットであるオーストラリア・アメリカ・イギリス・フランス・スペイン・ドイツの順で誘致をしています。

 

そして、成功要因としては、①旅行業務取扱管理者の資格を持つものや外国人スタッフを含めた10名の専門人材と有している点と、②旅行業務の増加による安定した財源の確保が図れている点であると言えます。(本書より)

 

 

次に、長野県飯田市を中心とする「株式会社南信州観光公社です。

 

実績として、1995年より体験教育旅行の誘致事業をスタートさせ、1996年当時は3校受入だったのが、2000年には71校まで増えました。

 

特徴としては、南信州の住民自らが案内人やインストラクターとなり、訪れた観光客に普段の暮らしの体験や地域の歴史・文化の学習等、「ほんもの体験」を提供し、住民と来訪者の交流の機会を創り出すことが特徴です。具体的には、農家民泊や五平餅作り、乗馬体験、ラフティングや渓流釣り、マウンテンバイクなど多種多様な体験プログラムを提供しています。

 

 

そして、瀬戸内海を中心とする「せとうちDMO」です。

 

この組織は、2013年4月に瀬戸内7県(兵庫県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県)で「せとうちブランド推進機構」をまず設立したのが、始まりになります。

 

さらに、「地方銀行がDMOと共にファシリテーターとなることで、地域にお金が落ちるマネジメントの仕組みとしての可能バリューチェーンを構築できる」という地方銀行8行の協力も取り付け、2016年3月にせとうちDMOを設立しました。

 

このDMOの大きな特徴は、100億円規模の独自のファンド「せとうち観光活性化ファンド」をもち、地域金融機関の融資を引き出しつつ、事業開発やプロダクト開発をしていくところです。そして、その結果、「企業が事業を営む地域社会の経済条件や社会状況を改善しながら、自らの競争力を高める方針とその実行」を意味するCSV(Creating Sheard Value)を実践しようとしている点です。

 

実績としては、2017年9月に就航を予定するハイエンド向け宿泊型クルーズ船「guntu」や、遊覧飛行が可能な水陸両用の航空機への投資を通じた、他地域には類を見ないハイクオリティなコンテンツを有している点です。

 

 

最後に、2013年から始まった神戸市の取り組み「おとな旅・神戸」です。

 

これは、中高年の女性をコアターゲットに、「神戸らしさの追求」と「特別感」を重視した観光戦略です。

結果として、行政が民間事業者と連携して、文字通り地域一体となって成果をあげる結果に至りました。(本書より)

 

 

 

▶︎第3部 日本版DMO導入への示唆
第8章 DMO導入の課題─地方自治体へのアンケートから
第9章 多様で安定的な財源への取組
第10章 DMO人材の育成
第11章 日本版DMOの形成に向けて─DMOの5つのポイント─

 

最後に、海外DMOの成功事例を踏まえた、日本の今後の観光立国に向けた観光地経営のあり方について述べられています。

 

その中でも最も緊急かつ重要な日本の観光の問題としては、「DMO人材の欠如」が挙げられています。

これを著者は「マーケット環境の変化に対応でき、地域においてあるべきDMO機能を確立し推進することで、地域の観光地経営のイノベーションを創出する人材」と定義し、以下の4つの要素が必要としています。

 

①組織経営ができ、社員のモチベーションを上げることができる人

②行政の仕組みを知り、協働で地域の観光振興を推進できる人

③観光関連産業の理論と実務に精通し、事業者との間で前向きな議論ができる人

④地域や業界の意見に耳を傾け、Win-WInの状況を作っていくことができる人

 

そして、最終章では、改めて日本版DMOの形成に向けて、5つの重要なポイントを振り返っています。

 

①DMOは、官民共同で形成され、地域に持続的な経済効果をもたらす組織である

②DMOは、観光行政との役割分担の元、与えられた権限とともに結果に責任を持つ組織である

DMOは、観光地経営を担う専門性を持った人材によって経営、業務執行がなされる組織である

④DMOは、多様で安定した財源のもと、ステークホルダーとの良い緊張関係の中で経営が行われる組織である⑤DMOは、地域の関連事業者はもとより、農林水産業、商工業関係者など様々な観光地域づくりに参画する新たな担い手とも関わりを持つ組織である
(本書より)

 

 

④しめの言葉

 

冒頭でも述べましたが、まさに本書のような、海外DMOの成功事例と共通点をまとめ、日本の観光地経営に当てはめて分析している本を探していたので、大変勉強になり、また今年読んだ本で1番参考になりました。

 

DMOって何?という方から、実際にDMOの中でガツガツ活動されている方にとっても、かなり有用な本なのではないかと思います。

 

率直に地域創生に関わっている友人みんなに勧めようと思いました。興味ある方はぜひ!
 

 

2017.09.21

 

 

 

 

 

 

 

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"Parallel Career"とは、仕事・趣味・社会の3点の交わる場所で生きることです。言い換えれば、自分のスキルを自分の好きなことに活かして、他の誰かを笑顔にすることで、社会貢献する新しい生き方です。

 

このブログを通じて、Parallel Careerという新しい概念を、インバウンド会計士という視点でご紹介出来ればと思います。

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Koki Miyashita / 宮下 晃樹

Carstay株式会社 代表取締役 / NPO法人SAMURAI MEETUPS 代表理事 / 公認会計士 / 一般社団法人モバイルハウス協会 監事 


1992年3月生まれ。ロシア出身。
大学時代にアメリカへの留学経験を経て、“訪日外国人に忘れられない体験をプレゼントする”、 NPO法人SAMURAI MEETUPSを2014年に創業。外国人と地域を繋ぐ活動を80名のメンバーと共に推進。4年間で延べ1200人の訪日外国人を地域でガイドした経験から、外国人旅行者の車移動の課題と、地域の2次交通の課題を実感。そこで、2019年1月に、“快適な移動と感動体験を創出するプラットフォーム”、Carstay(カーステイ)をリリース。”VANLIFE(バンライフ)”という新しい旅のカタチを提唱する。2019年は自製モバイルハウスを製作予定。

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